地域の中小・小規模事業者を支える経営指導員が学ぶデジタル課題解決スキル 「経営指導員向けDX研修レポート」
「山梨県DX人材育成エコシステム創出事業」では、デジタルスキルを身につけた県内の大学生が、商工・経済団体などと協力しながら県内中小・小規模事業者のDXを通じた課題解決を支援する、「地域内発型DXの実現」を目指しています。
この事業の一環として、県内中小・小規模事業者を支える経営指導員の皆さまがデジタルを活用した業務改善の方法を体験しながら学ぶ「経営指導員向けDX研修」を実施しました。
本研修の目的は、「デジタルスキルを活用して自ら業務課題を解決する成功体験を通じ、中小・小規模事業者のDX支援に必要なスキルを育むこと」です。
7月と10月に行われた計5回の研修には、県内商工団体の若手からベテランの方々まで、計95名の経営指導員や支援員が参加し、アルゴリズム思考のワークショップやノーコードツールを用いたアプリ開発の流れなどを実践的に学びました。
本記事では、その研修の様子をレポートします。
実践的な体験で課題解決スキルを育む
「DXの知識が全くなかった私でも、簡単に業務効率化のアプリを作る体験ができました」
これは、7月19日の研修に参加した経営指導員の方からのコメントです。
甲府市の山梨県商工会連合会で行われたこの研修では、指導員4〜5人のグループに分かれ、それぞれに大学生メンターがサポート役として付き、「アルゴリズム思考ワークショップ」や、実践型のワークなど企業支援DXの可能性を実感するプログラムを実施しました。最初は緊張を和らげるためのアイスブレイクを兼ねたアクティビティからスタートし、明るい雰囲気で進行していきます。
「アルゴリズム思考ワークショップ」では、コーヒーショップの注文フローを例に、問題や課題の発見と改善策の検討をチームで実施。コーヒーショップのDX化という誰もが想像できる身近な事例を元に、デジタルを活用した業務改善の進め方を体感しました。
後半は、指導員の皆さまがデジタル技術を活用して経営指導業務の課題を設定し、改善策を考案。大学生メンターがそのアイデアをデモアプリとして具現化する実践型のワークを行いました。
あるチームでは、来所相談の効率化を目的に「自動受付アプリ」を企画。受付業務の簡素化やデータ管理の効率化を目指し、大学生メンターと共にアプリの機能やUI/UXについて検討を重ね、数時間で完成させました。ノーコードアプリ制作ツール「Glide」を活用し短時間でアプリが作れることに、「すごい!」と指導員の方々も大盛り上がりでした。
デジタルによる課題解決の流れを体験すると同時に、「デジタルスキルに秀でた大学生と協力することで企業支援が可能になる」と熱を帯びながら実感されている様子が印象的でした。
地域中小企業のデジタル技術活用で広がる可能性
研修後のアンケートでは、
「ノーコードでのアプリ開発が簡単にできて驚いた」
「自分の業務に役立つ具体的な改善策が見えた」
「企業の課題解決にデジタルがどう関わるか理解が深まった」
といった感想が寄せられました。
また、94%の参加者が今後の業務で今回の学びを活かしたいと回答し、
「デジタル技術を用いた業務効率化を提案したい」
「企業へのDX支援のきっかけとして活用したい」
と、現場での実践に対する意欲が高まっていることがうかがえました。
加えて、
「経営指導員と大学生の連携によって短時間で経営支援のアプリが完成し、今後に繋がる有意義な研修だった」
「大学生が意見をまとめ、調整やアドバイスまでしてくれ、そのスキルの高さに驚かされた」
と、デジタルスキルに秀でた大学生との協働に対する高い評価も数々聞くことができました。地域のDX推進に向けた力強い一歩となったことが感じられます。
今後の展望
本研修を担当したスタッフは
「普段から研修に慣れている経営指導員の方々も、大学生メンターのスキルに驚かれた様子で新鮮味も高く、皆さん意欲的にご参加いただけた」
「課題設定からアプリ作成まで体験いただく中で、目の色が変わっていく参加者の様子に、DXの効果を実感いただけたと感じた」
などと協働事業への手応えを感じたようでした。
今後も山梨県では「DX人材育成エコシステム創出事業」を推進し、県内中小・小規模事業者のDX課題解決支援に取り組んでいきます。
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