【メンバー成長記】Unityインターハイでゴールドアワードをとった高校生が、受賞以外に得た大切なものとは?
全国の高校生や高専生、小・中学生が参加するオリジナルゲーム開発の全国大会、「Unityインターハイ」。101校、134作品というたくさんのエントリーがあったなか本選に出場し、しかもゴールドアワード(上位7名に入賞)という賞を獲得したのが島田東子さんだ。
そんな彼女に今回は、Unityインターハイに出るまでの心境や大会に出てからの自身の変化について語ってもらった。
ー 百人一首からプログラミングの世界へ。新しい挑戦の場に選んだのは、大好きなゲームづくり
ー 大会でゴールドアワード受賞! でも最初は、エントリーする気なんてなかった
ー 楽しいものづくりの1つ「プログラミング」をこれからも続けていきたい
百人一首からプログラミングの世界へ。新しい挑戦の場に選んだのは、大好きなゲームづくり
—— ライフイズテックに参加したのは、スクールから?
はい、スクールからです。ちょうど前の習い事を辞めた時期で、新しく何かをはじめたいなと思っていて。その時、友人がキャンプに参加したことを楽しそうに話していたのを思い出して、ライフイズテックに通うことにしました。
—— 前の習い事もIT系だったんですか?
いえ。百人一首をしていました。
—— また、なぜ全くちがうジャンルの習い事ですね! プログラミングに興味があったのでしょうか?
特にプログラミングへの興味はありませんでした。ただゲームが好きだったので、それをつくれるライフイズテックに興味を持ったんです。
—— ライフイズテックに通い始めてから、どんなゲームをつくってきたのでしょうか?
RPGやアクションゲームです。またフリーゲーム投稿サイト「unityroom」に、テーマにそったゲームを短期間でつくって投稿してきました。
—— どんなテーマのゲームだったんですか?
「つながる」では、たくさんの電話機の中から唯一外界につながるものを探し当てるゲームを、「集める」では鳩に豆を集めさせるゲームを、「探す」では“探素”とタイトルをつけてパネルの中から素数を探し出すゲームをつくりました。
—— テーマに沿ったユニークなアイデアがさく裂していますね!
そ、そうですかね(笑)? でも、すべてが思い通りにつくれたわけではないんですよ。「集める」ゲームは対戦ゲームにしたかったんですが、時間が足りなくて。
—— それでも、いろんな人に見られる場所に投稿できるだけでもすごいです! ちなみにRPGやアクションゲームについても、聞いていいですか?
はじめての長編RPGは、バグが出てくる世界で敵を倒すゲームをつくりました。そして今も開発を続けているのは、『かえるはかえる』というカエルが出てくるアクションRPGゲームです。謎解き要素も盛り込みつつ世界観にとことんこだわり、とにかく私が「カワイイ!」と思うものをつめこんだ内容となっています。
—— 今まさに制作真っ最中なんですね!
来年には完成予定で、リリースも考えています。
大会でゴールドアワード受賞! でも最初は、エントリーする気なんてなかった
—— ちなみにライフイズテックでは大会に出場する人も多いと聞きます。島田さんは何かの大会にエントリーをしましたか?
今つくっているカエルのアクションゲームを、Unityインターハイに出しました。
—— 開発中のゲームでも出場できるんですね! ちなみにもう結果って出ているのでしょうか?
ゴールドアワードを受賞しました。
—— おめでとうございます!
ありがとうございます。でもまさか受賞できるなんて思っていなかったので、私自身も驚きました。最初はエントリーするつもりがなかったくらいですし。
—— 意外です。てっきり自分からエントリーしたのかと。
メンターさんに「出すよね?」と言われて、「あ、はい……」みたいな感じでしたね……。正直つくっているゲームに、大会にエントリーするほどの自信がなかったんです。出したところで一次敗退だろうと思っていました。
—— なぜそう思っていたのでしょうか?
Twitterで過去のUnityインターハイ出場者のゲームを見ていて、到底かなわないなと感じたからです。
—— じゃあ本当に「思わぬ結果」という感覚だったんですね。
はい。ただ出場してゴールドアワードを受賞してはじめて、思っているよりいいゲームがつくれているんだという自信はつきました。なにより出場したからこそ、得られた経験もたくさんあって。
—— どんな経験だったんですか?
まず、ゲーム制作のプロからフィードバックがもらえたことです。ライフイズテックのなかでもフィードバックをし合うことはありますが、より実践的な講評をもらえたので、今開発中のゲームにめちゃくちゃいかせています!
—— ちなみにどんなコメントをもらったのでしょうか?
まず、世界観が統一されていることと総合的なバランスのよさを評価してもらえました。世界観づくりはこだわっていたので、うれしかったですね。反対にアドバイスしてもらったのは、ゲーム画面からトップに戻るボタンをつけることと、アクションゲームならではのスムーズな動きをみせるために影を使うことです。
—— かなりしっかりと見てもらえるんですね!
はい! しかも大会に出たことで、私のゲームをたくさんの人に知ってもらえたんです。出場者同士はもちろんなんですが、SNSを見てあこがれていた人からもコメントをもらえて。ゲームづくりの仲間とつながれたことも、私にとって大切な経験となりました。
また私ともう1人女の子が大会に出場していたんですが、彼女は「価値観が変わるほどのゲームだった」という講評を受けていたんです。そのコメントを聞いて私もそんなゲームがつくれたらいいなと思いました。
—— 刺激を受けたんですね!
同じ女の子ということもあったからか、自分も頑張ろうという気持ちになりました。
—— ちなみに大会での結果は、周りの人に報告しましたか?
はい。両親はもちろんライフイズテックのメンターさんたちにも伝えました。
—— とても喜んでくれたのでは?
そうですね。というよりメンターさんは、今の担当の人だけでなく前の担当の人まで会場に応援しに来てくれていたんですよね。結果が良くなかったらわざわざ来てもらったのに申し訳ないと思っていたので、ちょっとホッとしましたね。
—— 頑張ってゲームをつくっていた島田さんを知っているからこそ、きっと最後まで見届けたかったんですよ。
応援してくれているのを大会までの期間でも感じていたから、その場でいい結果をみせられてよかったなと思っています。締切直前にゲームを提出した時も、慣れないファイル形式に戸惑っていたら丁寧に教えてくれて。このようにメンターさんをはじめ本当にたくさんの人に支えてもらったからこそ、ゴールドアワードがとれたと思っています。
楽しいものづくりの1つ「プログラミング」をこれからも続けていきたい
—— ライフイズテックに入ってゲームをつくってみて、あらためてプログラミングってどんなものだと感じていますか?
ものづくり、表現方法の1つとして、とても面白いと感じています。私はもともと編み物や絵を描くことも好きだったんですが、ライフイズテックに入ってみてプログラミングもこれらのものづくりと共通していることに気付きました。だからハマったんだな、と。
—— どの辺が共通しているのでしょうか?
編み物は一本の毛糸を同じ行程をくりかえすことで、1つの作品になります。プログラミングもアルファベットの羅列を書いていくと思い描いた動きが表現できるので、そこが似ているなと思いました。またどちらも、地道な作業やうまくいかないことを乗り越えた先に完成が待っています。その時に味わえる感動も共通していると思うんです。
—— 最初はプログラミングにそこまで興味がなかったとのことですが、これからも続けていきたいものづくりに加わりましたか?
そうですね。まだ先のことは想像できませんが、ゲームはつくり続けていきたいので、ゲーム制作の仕事にかかわれたらいいなと思っています。
******
ゲームに限らず自分がつくったものを誰かに見てもらうことは、勇気のいることだと思います。しかしその勇気を出すことで、これまで気付けなかった自分の魅力やもっと伸ばせる部分が見え、さらには思いがけないつながりも生まれるのではないでしょうか。
島田東子さんの「好き」をつめこんだゲームがより多くの人に届く日を、私も楽しみにしています!
ライター:クリス(@qris_)