【レポート】たくさんの卒業メンバーとメンターが参加「 Spring Camp 2019」!バトンは次の世代へ!笑って泣いた東大5days

ライフイズテックが中高生向けに春休み期間に開催するIT・プログラミングキャンプ「 Spring Camp 2019」が今年も6都道府県、9大学を会場にして全国で開催され、約1300人のメンバー(中高生)が参加した。

春は出会いと別れの季節。本レポートでは、多くの卒業メンバーとメンター(大学生講師)が参加した東京大学(本郷キャンパス情報学環・福武ホール)の5daysにフォーカスし、彼らのこれまでの軌跡と、卒業するにあたっての熱い声を軸に届けていきたい。

今年の「 Spring Camp 2019」のテーマは「この春よ、止まれ」。東京大学(本郷キャンパス情報学環・福武ホール)の5daysは、3月26日から30日の日程で、約120人のメンバーが参加。東大前駅から徒歩5分の和風旅館「鳳明館森川別館」に宿泊のプランだった。

今回のキャンプで卒業となる高校3年のメンバーは7人。約20人のメンターも、そのほとんどが大学を卒業し、4月から新社会人を迎える卒業生だ。

「iPhoneアプリプログラミング」や「Unity®ゲームプログラミング(2D・3D)」、「Webデザイン(HTML/CSS)」、「デジタルミュージック」といった多彩な15コースを設けた。

ライフイズテックならではの参加者をワクワクさせるアクティビティも充実させた。特に、1日目の謎解き「人狼学園」。2、3日目に各チームが制作・発表した「テーマ」と「感情」に沿ったストップモーション動画は、会場を大いに沸かせた。

さらに、2日目の夜には、メンバーに普段なかなか聞けないようなワクワクした経験をしてもらおうと、国立極地研究所で極地研究をされている田邊優貴子先生をスペシャルゲストとして招き、講演会を行った。田邊先生は、「誰も知らない世界への知的好奇心と挑戦」と題し、極地研究の面白さや研究者になるきっかけなどについて、質疑応答も含め、1時間にわたってメンバーの前で語った。

5日間にわたるメンバーの開発作業を経て、最終日の作品発表会では急遽座席を追加するなど多くの保護者が来場した。

続いて開かれたエンディングセレモニーでは、各コースの担当メンターがメンバーにキャンプをやり遂げた修了書を授与した。今回は卒業キャンプであることから、代表として修了書を受け取ったのは高校3年の卒業メンバー7人だ。

修了書を受け取った卒業メンバーは「人との輪を学ばせてもらった」、「自分と関わってくれた全てのメンター、社員、メンバーに感謝したい」、「プログラミングは魔法みたいでした」、「ITの力で全力で楽しませてくれた」などと述べた。

そんな卒業メンバーの声を成長の証でもある本キャンプの作品とともに紹介していこう。

「映像制作コース」の女子メンバーは6年前、父の勧めで東大の春キャンプに参加したのが最初で、その後キャンプ参加は15回を数える。中学3年からは白金高輪スクールでiPhoneアプリプログラミングを学んだ。

「ライフイズテックは生活の一部でした。純粋にものづくりが楽しかった。学校とは違う友人もできたし、優秀な先輩やメンターの作品を見て、身近に自分の目標があった」

今回のキャンプでは、自身が旅先で撮影したものをもっとクールな映像に見えるように、寒色系カラー・コレクションとシェイプレイヤー(図形)をメインにして編集、作品に仕上げた。

4月からデジタルハリウッド大学に進学し、現在、「Life is Tech ! Leaders」にも参加中だ。メンターへの登竜門である研修プログラムで、IT教育の最前線で中高生の未来を拡げる大学生リーダーとなることを目的とし、競争率は3倍以上にもなる。彼女もメンターを目指す。「ライフイズテックと関わりがなかったら進学先も変わっていたと思う。これから、人を楽しませるような、びっくりしてもらえるような映像を作ったり演出を学んだりしていきたい」と語った。

「メディアアートプログラミングコース」の男子メンバーは、6年前の慶應大学SFCで開催されたキャンプが最初だ。元々、特にパソコンに興味があったわけではないが、ライフイズテックが作り出す空間が好きで、プログラミングコースを中心にこれまで20回以上キャンプに参加してきた。

「メンターの皆さんも接しやすいし、僕たちを楽しませてくれる空間が好きでした。受け身な自分を変えられる場所ですね

今回のキャンプでは、Leap Motionという指の関節を赤外線で読み取るセンサーを使ってメディアアート作品を制作。4月からは慶應大学に進学する。「最初のキャンプに行っていなかったら、プログラミングはやっていなかったと思います。そんな僕が今はプログラマーを目指しています」と語った。

「デジタルミュージックコース」の女子メンバーは、中学2年の東大の夏キャンプを皮切りに約10回のキャンプに参加してきた。今回のキャンプでは、Logic Pro XというソフトとUTAUという歌声合成ソフトを使ってオリジナル曲を制作した。

「居心地がいい。外では騒ぐタイプではないけど、ライフイズテックでは自分を許容してくれる気がする。ボケても拾ってくれるし(笑)メンターも他のメンバーも色々な技術をそれぞれ持っていて、それが一ヶ所に集まっているのがすごい」と語った。

同じコースの男子メンバーは、中学1年の慶大SFCのキャンプが最初で、キャンプ参加は10回以上。小学生の頃からレゴ教室に通い、プログラミングには元々興味があり、高校1年からは白金高輪スクールでUnity®ゲームプログラミングを学んだ。

「振り返ると、楽しいの一言です。学校では味わえない楽しみがありました。プログラミング初心者でもできるようになるのがすごいですね。すごく難しいと思っていたことが覆る瞬間が好きです」

高校卒業の際、課題研究の発表会があったが、「スクールで学んだゲームプログラミングについて発表しました。ライフイズテックで発表には慣れているので、それが活きましたね」と話す。今回のキャンプでは、GarageBandというソフトを使って、既存曲を耳コピした作品を制作した。耳コピとは、楽譜などを見て打ち込んでいくのではなく、音を聞いて打ち込むこと。

4月から工科系大学に進学する。「コンピューターや3DCGなどについて学びます。人を楽しませるプログラムを作りたいです」と語った。

「iPhoneアプリプログラミングコース」の女子メンバーは、中学2年の時の慶大SFCを最初にこれまで10回以上キャンプに参加してきた。中学3年からは、白金高輪や秋葉原スクールでアプリプログラミングを学んだ。

アプリプログラミングを学んだ理由について、「自分にとって一番身近で、目に見えて人に喜んでもらえそうなので」と話す。今回のキャンプでも、冷蔵庫の中身を管理するアプリを開発した。

元々は文系だったが、4月からは大学の情報系学部で学ぶ。「ライフイズテックに出会って人生変わりましたね。新しい世界を知ってテクノロジーに興味を持ちました。メンターに教えてもらうのも新鮮で、私の『先生』という概念を覆してもらいました(笑)卒業して就職するメンターさんを見てきて、私もやりたいことに対してまっすぐに進みたいと思います」と語った。

「Webデザイン(HTML/CSS)コース」の女子メンバーも、中学2年の時の慶大SFCをスタートに、これまで10回以上キャンプに参加してきた。初めてのキャンプの後、白金高輪スクールにも通い始め、iPhoneアプリプログラミングを中心に学んできた。

「アプリなんて神様が作ったものだと思っていました(笑)だから、初めてアプリを作れた時は自分でもびっくりしました。『自分でも作れるんだ』って。私も作る側になりたいって思いました」

彼女も4月から慶應大学に進学し、「Life is Tech ! Leaders」に参加。「今度は教える側で人生を変えるきっかけを提供できるようにしたい。メンバーは技術的なこともどんどん興味を持ってほしい」と語り、メンターを目指して研鑽を積んでいる。彼女や先述した女子メンバーのように、ライフイズテックで育った卒業メンバーの中には、今度はメンターを目指し、ライフイズテックにメンターとして舞い戻ってくるケースがたくさんある。

「iPhoneアプリプログラミングコース」の男子メンバーは、中学3年の時に東大で開催された春キャンプが最初だ。そこで初めてアプリ開発をしながら、「別のスキルを磨いている仲間がすぐ近くにいて、とても刺激になった」という。

4月から早稲田大学に進学する。「プログラミングは一つのツールなので、それを生かしたPCを使ったIT分野の仕事につきたい」と語った。

エンディングセレモニーでは、7人の個別認定式の後、卒業メンターを代表して大山隆仁さんが登壇し、来場者の前で涙を拭いながら最後の挨拶をした。

「僕自身もライフイズテックに人生を変えてもらいました。毎回キャンプの最終日、メンバーから『また会いに来るね』、『次はこんなの作りたいんだ』と言ってもらえて、僕が教えた技術で成長してくれたメンバーを見ることが、メンターをやる活力になりました。他のメンターもそうだと思います。一緒に働いてきた最高のメンターの皆さんとメンバーの皆んなと一緒にこのキャンプができて本当によかったなと思います。ありがとうございました」

大山さんの挨拶を受け、ライフイズテック副代表で今回のキャンプで総合司会を務めた小森勇太がメンバーに向けて語った。

「僕はキャンプで中高生一人一人の可能性が広がることを本当に思っています。みんなは、マジで可能性あるから。全員のことを信じています。100人いたら、100人才能があると思ってる。たまたま今の環境から、自分の才能が前に出なかったりコミュニケーションが苦手でクラスで友達ができにくかったりすることもあるかもしれないけど、僕らはみんなの可能性を広げたいと思ってる。だからメンターの人たちに助けてもらって、ITをやっている。自分には才能があると思ってほしい。ライフイズテックが自分の才能を見つけられるきっかけの場になってほしいなと思ってます」

最後に、春のキャンプならではの卒業メンターを送り出す「卒業サプライズ」企画も。これはメンバーが「メンターが一番喜ぶことは何か」を出発点に企画を練り、これまでメンターに教えてもらった技術も使って感謝の意を伝えるのもので、今回は5人が企画・運営・演出を担った。

ライフイズテックの十八番である謎解きもメンバーが考え、「謎科卒業認定試験」と題して会場を沸かせた。オープニング映像の制作から謎解きへと誘う「予告状」のデザインまで全てメンバーが自作した。

メンターたちには寄せ書きができるようメンバーがデザインした白いTシャツが贈られ、「卒業おめでとう」、「大好き」、「今までありがとう」などとメッセージを書いていた。

各メンターに向けた関係者らのビデオメッセージの映像も作られ、用意されたピザを食べながらメンターとメンバーは最後まで名残惜しそうに交流した。

最終日では今回のキャンプにメンバーを送り出してくれた保護者の方々からも話を聞くことができた。

「あまり学校に行けてなかった娘が自分で見つけてきたのがこのキャンプ。もちろん初参加。エンディングセレモニーは感動しました。娘も4泊5日、発表会までやり切ってくれて本当に良い経験になったと思います」

「初めての参加でしたけど、息子が自分から行くと言い出して。すごい楽しんでいる様子でした。これで人生変わってほしいなと思いました。こういう体験はなかなかできません」

「ライフイズテックに行く時だけ自分で重い荷物を持って楽しいって帰ってくる(笑)娘はコミュニケーションが苦手なんですけど、それを受け止めてもらえることが嬉しいです」

こうして笑顔と涙に包まれた東大5daysが終幕した。

最後に、ライフイズテックで普段はスクールチームのリーダーを担い、今回のキャンプではディレクターとして走り切った田口峻平に今回のキャンプを回顧してもらった。

春という季節に合った『出会いと別れ』のキャンプでした。ITによる新しいモノづくり、新しい友達やメンターとの出会いがある一方で、高校3年生、卒業するメンターとの別れがある特別なキャンプでした。

ライフイズテックらしく、今までの感謝をこれまで学んできたモノづくりを通して返すことができました。卒業メンターに対し、メンバーがそうした感謝を伝える姿がとても嬉しかったです。

卒業していくメンバー、メンターの背中を見て、また新しい一歩を踏み出し、モノづくりを通して自分の世界を広げ、今回のキャンプのように身の回りの誰かを喜ばせることに、学んだ力を使ってほしいと思います」

今回のキャンプでは何人かの保護者の方々から話を聞くことができたが、キャンプであれスクールであれ、その空間が学校や家庭とはまた違うメンバーの「居場所」になっていることを感じた。小森も「メンバーの才能を見つけられる場所になってほしい」と話していた。輝ける場所の一つとして、そのきっかけ作りの場所として、キャンプがメンバーの中に存在してくれたら嬉しい。

田口の最後のコメントにもあるように、春は卒業や入学、就職等々、多くの人にとって別れの季節でもある。もしかしたら国語の教科書で学んだメンバーもいるかしれないが、作家・井伏鱒二の名訳に「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」という言葉がある。これは一見すると、ちょっと寂しい言葉に思われるが、「出会いこそが全て」という隠れた意味があるという。

この春、新しい「居場所」へと羽ばたいたメンバーとメンター。そして新しい出会いに幸あれ!