【レポート】CES初出展!グローバル進出に確かな手応え/ブース作りに取材対応、現地の「リアル」語る

posted on 2019/02/14

家庭用エレクトロニクス分野で世界最大級の国際見本市として知られる「CES」を振り返る「CES2019報告会〜スタートアップ・VC・大企業、それぞれから見たCESとは?〜」が2019年1月24日、東京都渋谷区のオフィスビルで開かれた。

スタートアップの代表として、ライフイズテックでグローバル事業を統括する宮川聡が登壇し、出展の目的や成果などについて来場者約300人を前に講演した。

本レポートでは、宮川の講演に沿って出展までの流れを概略的にたどった上で、報告会後に行ったインタビュー内容を付け、CES全体を振り返っていきたい。

CES2019は1月8日~11日、アメリカ・ラスベガスで開催され、世界中から約4500社が出展(うち、スタートアップ約1200社)。ビジネスマンやエンジニア、イノベータら約18万人が集まった。

報告会では、VC(ベンチャーキャピタル)代表として「Plug and Play Japan 株式会社」、 大企業代表として「パナソニック株式会社」 の各担当者も講演し、講演会後に行われた座談会でも宮川とともに会場を盛り上げた。

宮川は冒頭、「今回、初めてCESに参加させていただいた。情報も乏しい中、小さな組織がどのようにしてCESに参加したのか、リアルな話をお伝えできればと思います」と切り出した。

宮川は、会社の取り組みとして、キャンプやスクール、オンラインのプログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」などの事業内容や、進行中のアメリカ法人設立について説明した。

CES出展の背景としては、経済産業省が主導する「J-Startup企業」の1社として、「アメリカ市場での認知拡大、メディア露出」と「販売チャネルの開拓、ネットワーキング」という2つを大きな目標を掲げていたと説明した。

メディアの露出(2019年2月時点)については、Web記事9件、テレビも含めて動画媒体7件。さらに、メディアと交換した名刺は150枚以上に上ったと数字を挙げて説明し、「販売チャネルとして、アメリカでは『Education Toy』、日本で言うところの知育玩具という分野が発達していて、協会主催のフェアもあるという情報も集めることができた」と成果を語った。

総括として、「グローバル展開したいスタートアップは、絶対出展した方がいいと思います。僕らはサービスでしたが、ハードは特に出展した方がいい。メディアはもちろん、卸業者と直接出会えるからです」と述べた。

さらに、戦略として、ライフイズテックがNHK Eテレ「ピタゴラスイッチ」から想起したブース設計を行ったことを挙げ、「メディア受けするブース、特にデモは重要。触ってもらうとそのまま記事になりやすいし、注目もされる」と述べた。

最後に最も苦労した点として、「とにかく情報がない。特に出展する側の情報がない」とし、「ぜひこういった情報を皆さんで拡散してもらい、オールジャパンでやっていきたい」と締めくくった。

 

CESへの出展という大役を務めた宮川から、本番までの準備やアメリカ進出の手応えについて聞いた。

 

ーーCESへの出展を決めたのはいつ頃でしたか。

正式に決まったのは昨年9月中旬です。経産省から「J-Startup企業」の1社として参加できると聞き、その枠に応募しました。その結果が出たのがその時期です。ですから、結構直前ですよね(笑)

 

ーー実際に出展への準備はどのように進めていきましたか。

昨年11月、グローバル事業部に三木アリッサがマーケターとして入社してくれて、そこから準備が本格化しました。

まずはCESに出展経験がある方に話を聞きに行きました。そこでメディアに目を引くような演出のブースや配布するフライヤーのサイズなど色々とアドバイスをいただきました。

やっぱり一番大変だったのは、どういうメッセージをアメリカで出すかという点です。アメリカはローコンテクストの文化ですから、商品の価値をしっかり示す必要があります。

そこで、「テクノロジア魔法学校」が、トップゲームクリエーターである橋本善久(ライフイズテック 取締役CTO)と、ラーニングエクスペリエンスを生み出す小森勇太(同副社長COO)がともに作り上げた最高の商材であることを伝えることにしました。

そこから英語版のWebサイト、動画を作りました。NHK Eテレ「ピタゴラスイッチ」から想起したブース演出は、外部の専門家の方にも入っていただいて作りました。1月5日出発でしたが、結構直前までバタバタでしたね(笑)

  • CES出展の様子

ーー実際にアメリカに行ってみて、苦労したことは何ですか。

ブース設置の業者の方もアメリカまで来てくれたんですが、実際に現場で組み立てるのは大変でした。すごい大きいバンを借りて、自ら機材の運搬もしました(笑)開始10分まで細かい調整をしました。

あとは、ある種当然なのですが、ブースに来てくれるメディアの人の背景が全然分からないんです。とても著名な人なのか、個人レベルのインフルエンサーなのか。ですから、全く気を抜けず、ずっと全力投球で立ちっぱなしの応対をしなければなりませんでした。常にエンジン全開は大変でした(笑)

ーー米国進出への手応えはありましたか。

具体的なメディア露出の数字は報告会の通りです。

感覚で言うと、「テクノロジア魔法学校」を始め、ライフイズテックの事業がアメリカでも受け止めてもらえそうだなと思っています。そういう感覚は、グローバル事業部で共有できました。

その理由を一言で言えば、メディアの反応です。ちゃんと質問してくるんですよ。深く知ろうとするコミュニケーションが確かにありました

 

ーー来年のCESへは出展を考えていますか。

欧米だけでなく、本当に世界中から人が集まるので、どういう形かまだ分かりませんが、ぜひ参加したいですね

 

ライター:宮本俊一
プロフィール:1981年、群馬県生まれ。2006年、読売新聞東京本社入社。記者職を中心に歩む。子どもの未来に繋がる仕事がしたいと2018年11月、Life is Tech! に転職。仕事の傍ら2013年からエッセーを書き、「第18回約束(プロミス)エッセー大賞」(産経新聞社主催)などで入賞。「誰にでも分かりやすく」をモットーに、旬な話題を随時アップします!