【メンバー成長記】マインクラフターのためのコミュニティ開発に挑戦する高校生がえがく、好きなことを通して人と人とがつながる未来
Minecraft(マインクラフト)(※1)ユーザーが集う『Mifton(ミフトン)』というオンラインコミュニティツールがある。そのツールを作ったのは、なんと高校1年生の浅田 睦葉(@momeemt)さんだ。彼はライフイズテックのキャンプやスクールで、プログラミングやWebデザインの技術を磨き、卒業した今もミフトンをより多くの人に広げるために、サービスの改善を続けている。
そんな彼に、このサービスを作ったいきさつや、スクールに通っていた時の思い出を語ってもらった。
※1 Minecraft(マインクラフト)…仮想世界を自由に動き回って探索・攻略するゲーム。ブロックを使って建物を建てたり、サバイバル生活を楽しんだりできる。
「自分で作りたい」は小学生の頃からの願望
ーー ライフイズテックに参加するきっかけを教えてください。
中学生の頃「音ゲー(※2)」が好きだった僕は、この趣味にハマっていくうちに自分でもゲームを作ってみたいと思うようになりました。そして中学生2年生の頃、母が見せてくれたチラシをきっかけに、ライフイズテックのキャンプのAndroidアプリプログラミングコースに参加しました。
※2 音楽ゲームの略称
ーー Androidアプリプログラミングコースを選んだのはやはり、「音ゲーを作ってみたい」という想いがあったからでしょうか?
もちろんその気持ちがあったからというのもありますが、小学生の頃からゲームが好きで、プログラミングにも興味があったので、このコースを選びました。実は趣味で、さまざまなプログラミング言語を勉強していたんですよ。この勉強してきたことをもっと深めて力をつけたいと思い、キャンプ参加しました。
ーー キャンプからスクールに通おうと思ったのはなぜですか?
同世代の仲間たちとともに開発を進めるキャンプはとても楽しかったのですが、開催期間が夏休みや冬休みの長期休暇がメインなので、プログラミング熱を持続させることが難しかったんです。だから、もっと自分の中でプログラミングを習慣化させ技術を高めるために、スクールへ通うことにしました。
マインクラフトをもっとみんなで楽しみたい!コミュニティを作ろうと思ったきっかけ
ーー プログラミングを習慣化させるために通い始めたライフイズテックのスクールで、WEBデザインのコースを選んだのはなぜですか?
実は、最初からWEBデザインコースを選んでいたわけではありません。入った当初は、ゲーム制作のためのプログラミングをもっと学ぶために、Unity®ゲームプログラミングコースを選びました。その学びの中で、自分にはプログラミング以上に必要なものが見えてきたんです。
ーー 何が自分に必要だと思ったのですか?
デザインのスキルです。実は、スクールに通い始めたのと同じ頃に『Minecraft(マインクラフト)』のユーザー向けの情報発信メディアの運営を始めていて。このサイトを作るにあたりWEBの勉強も自力で始めたのですが、コーディングはこれまでの知識でできるものの、レスポンシブ対応や色など、デザインの部分で壁にぶつかったんです。だからデザインの部分を強化したいと思い、スクールに入って半年後にWEBデザインコースへコースチェンジしました。
ーー そもそもなぜ、マインクラフトのメディアを始めたのでしょうか?
マインクラフトはクラフト拡張という機能を使いこなして、攻略を楽しむゲームです。ただこの機能を日本のユーザーが使うためには、英語の資料を読まなければならないといったハードルの高さがありました。だから日本には、マインクラフトの拡張機能スキルを持った人が少なく、いたとしても情報の共有があまりなされていなかったんです。
僕自身中学生の頃からこのゲームにハマっていて、「もっとたくさんの人とクラフト拡張などの技術を共有してゲームを楽しめたらいいのに」と思っていたので、マインクラフト仲間の力も借りながらゲーム内で使える技術を紹介するメディアを立ち上げました。
ーー マインクラフトを好きという気持ちが、メディアを立ち上げるという行動につながったんですね!
ただ、メディアを立ち上げたものの、想像していたような技術共有のコミュニケーションは取れませんでした。メディアはあくまで発信なので、そのコミュニケーションは一方通行であることが多くて……。だからマインクラフトを楽しんでいる一人ひとりが、もっと自分の持っている技術を教えたり、気軽に「ここで使える拡張を教えて」と質問したりできる場を作りたいと思ったので、『Mifton(ミフトン)』というコミュニティを作ることにしました。
▼Mifton
https://mifton.xyz/
ーー 情報発信だけでなくマインクラフト好き同士がつながれる場所を作るとは、その行動力に脱帽です! しかし好きなものを通してつながろうと思うのなら、今はTwitterなどのSNSもあるので、あえてコミュニティを作らなくてもいいような気がします。
確かに今はSNSがあるので、マインクラフトユーザー同士がつながりやすいとは思います。しかしマインクラフトをやっている人たちは、TwitterやLobi(※3)、Google+(※4)などの各種SNSに分散していたので、より多くの人と技術を共有できる状態ではありませんでした。そこで僕は、これらのさまざまな場所でやりとりされている技術が1カ所に集約できれば、これまで以上に技術共有スピードがあがるのではないかと考え、マインクラフトユーザーのためのコミュニティを作ろうと思ったんです。
※3 Lobi…人気ゲームの攻略情報や攻略動画が集まる日本最大級のゲームコミュニティ。
※4 Google+…Googleが運営していたSNS。2019年4月にサービス終了。
ーー 確かに使っているSNSがちがえば、つながれる人も限られますね。また仲間とつながったり技術を見つけたりするのも時間がかかることを考えれば、マインクラフトのためだけのコミュニティがあると助かる人もいるかもしれません。
TwitterなどのメインSNSを持ちつつも、マインクラフトのことで何か困りごとがある人に立ち寄ってもらえる場所を作りたかったんです。だからこのコミュニティの中で、マインクラフトに関するコミュニケーションが完結できるよう設計を考えました。今はTwitterのようにつぶやける機能と、ヤフー知恵袋のように質問できる機能がコミュニティの中にあり、それぞれがリンクできるようになっています。
仲間たちからの感想と「分からない」と言える環境が、僕の「やりたい!」を実現させた
ーー ちなみにデザインスキルを磨くためにコースチェンジをしたとのことですが、その力が不足しているなと思ったきっかけはあったのでしょうか?
サイトのデザインを友人に見せて、UI(※5)の部分で意見をもらったことや、母からサイトに使っている色への違和感を指摘されたことがきっかけです。自分の中では100点だと思っていたものが、他の人から見たらまだまだ足りないのだと実感しましたね。
※5 UI…User Interface(ユーザーインターフェース)の略語。サイトなどの表示や入力方法の仕組みのこと。
ーー 他の人に見てもらうことで、気付けることはたくさんありますよね。
なによりリアクションがもらえることがうれしいんです。スクールを卒業するときにSNSに自分の作品を投稿するのですが、皆さんから「いいね」「使ってみるね」といったコメントがくるたびに喜びを感じていました。
ーー 自分の作ったものが誰かに届いたという実感は、ものづくりのモチベーションにもつながりますよね。
リアクションだけでなく分からないことを共有できること、そしてその分からないことからきちんと解決するクセがついたことも、スクールに通ってよかったと思える点です。
作品制作を進めていると、必ず分からないことが出てきます。この「分からない」がうまく説明できないこともあって。しかしスクールに通っていた時はまず「分からない」と口にすることで、メンターさんがどこでつまずいているのかを丁寧に引き出してくれるんです。だから、自分の中でぼんやりしていた「分からない」が明らかになって、つまずきが解消できました。
はっきり「分からない」と言える環境があることも、僕のやりたいことを実現するためにとても大切だったと思います。
マインクラフトユーザーがもっとゲームを楽しむためのきっかけを届けたい
ーー 今はもうスクールを卒業されているとうかがっていますが、まだ開発は続けているのでしょうか?
もちろん、毎日『Mifton(ミフトン)』の開発を進めています。今は、スマホユーザーに使ってもらいやすいUIにするための開発がメインです。
ーー アプリ化も検討しているのでは?
もちろん考えています。スマホのアプリがなければ多くの人に触ってもらえませんから。今はアプリを簡単に作れるツールもあるので、そういったものを活用しながらスマホユーザーにも優しいマインクラフトコミュニティを作っていきます。
またメディアやミフトンの運営を通して、同じ質問のやりとりが何回も見られていたので、ここを改善するための開発も進めたいです。
ーー ユーザーに寄りそう開発への意欲がすごいです! たくさんのマインクラフターからなくてはならないと思ってもらえるコミュニティになる予感がプンプンします!
『Mifton(ミフトン)』という名前は、マインクラフトユーザーにパッと頭にイメージしてもらえるよう、Minecraft(マインクラフト)から文字をとり、そしてゲームとコミュニティがつながったらいいなという想いでつけました。だから、ミフトンを使ってこれまで知らなかったクラフト拡張を自分のゲームに実装するまでの時間を短縮したり、積極的に技術の情報共有をしたりするなど、多くのマインクラフトファンに活用してもらえたらうれしいですね。
このコミュニティがたくさんのマインクラフターにとってこれまで以上にマインクラフトを楽しむきっかけとなるよう、これからもどんどん開発を進めていきます!
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自分の好きなものを仲間たちと楽しみたいと、コミュニティづくりに挑戦している浅田さん。彼のやりたいことは、ライフイズテックや自力で学んだプログラミングやデザインのスキルと仲間たちとの出会いを武器に、さらに広がりをみせていくのだろうと感じました。
浅田さんの『Mifton(ミフトン)』が近い未来、日本のマインクラフターにとってなくてはならないコミュニティとなることを期待しています!
ライター:クリス(@qris_)