【メンバー成長記】ただ自分が楽しめるゲームを作れればよかった高校生が、共同開発したゲームで全国大会優勝を目指すワケ

現在ライフイズテック大阪スクールUnity®ゲームプログラミングコースで学ぶ札本将大さんは、受験を控えた高校3年生だ。

彼は今、Unityインターハイというゲーム開発の全国大会での優勝を目指し、東京の友人と一緒に新作ゲームの開発をしている。

今回はそんな彼に、ゲーム開発に夢中になったきっかけや大会で優勝を目指す理由を聞いた。

自分が楽しめるゲームが作れたら。ライフイズテックに参加した理由

  ── ライフイズテックを知ったきっかけを教えてください。

「あなたの学校にライフイズテックがやってくる」みたいなイベント(Teens Coding Week※1)に、友達と参加したことがきっかけです。

本当に最初は、プログラミングを深く知れば何か楽しいことができるんじゃないかなという軽い気持ちで、友達との共通の趣味である“ゲーム”が作れるUnity®ゲームプログラミングコースを選びました。

そして実際にプログラミングを体験してみたら、その奥の深さに驚いて。

僕はもともと初音ミクなどのCGアニメが好きで、自分でMMD(※2)をつかって実際にキャラクターを動かしていたんです。プログラミングが自在にできるようになれば、アニメーションの幅を広げることも、自分が思い描くゲームを形にすることもできると思い、スクールにも通うことにしました。

※1…普段 Life is Tech ! が大学で開催しているITプログラミングキャンプを「学校」や「企業」を開催地として、学校の生徒の皆さまへ直接体験をお届けするイベント
※2…MMD:プリセットキャラクターの3Dモデルのアニメーションを作成する3DCGソフトウェア「MikuMikuDance」の略称

 ── ちなみに、コースで使うUnityがどんなものなのかは知っていたのですか?

あの『Pokémon GO』を作っているもの、というざっくりしたイメージを持っていたくらいです。だからスクールに通い始めた当初は、ほぼ初心者と変わらなかったと思います。実際にスクールで操作して、知識やスキルを身につけていって。

そうやって学ぶうちに、思い描く動きを実現させるためのスクリプトの仮説が立てられるようになりました。そしてそれが実際に形になったときはうれしくて。気がついたらハマっていました。

リリースなんて考えてもなかった、はずだった。

ーー スクールに通い始めたのはいつ頃からだったのですか?

高校1年生の春休みからなので、1年半くらいUnityに触れて、プログラミングのコードを書いています。その間でオリジナルRPGゲームを2つ作りました。1つは迷路探索系で、もう1つはSF系です。

ーー ライフイズテックのどのコースも最終的には“リリースすること”(=自分の作品を世界中に公開すること)を目標にしていますが、リリースはできたのでしょうか?

迷路探索系のゲームは提出期限に間に合わず開発途中で終わってしまいましたが、SF系のRPGは作り上げることができました。そもそもスクールに通い始めたばかりのころの僕は、自分で作ったゲームを世の中に公開するなんて考えていなかったんですよ。自分がやりたいと思うゲームを作れればそれでよかったんです。

しかし、メンターの人に「迷路にクリア条件を設けてみたら?」とアドバイスをもらったり、「リリースしたほうがいいよ!」と背中を押してもらったりするうちに、周りの人の意見を取り入れることでよりおもしろいものができあがることの楽しさに気がつき、リリースを意識しはじめました。

ーー 人の意見を取り入れてよりよいゲームを作っていく楽しさが、札本さんの開発意欲をかきたてたんですね。

特にSF系RPGゲームは「Life 伊豆 Tech !(※2)」という短期合宿に参加して、同じチームだったメンバーと共同開発して4日間で作り上げたんです。自分以外の誰かの意見をもらいながら、よりおもしろいゲームを考えつくっていく経験ができて本当に楽しかったです。

※2…Life 伊豆 Tech !:2019年4月30日~5月3日の4日間、静岡県・伊豆長岡温泉にて開催された、合宿型ワークショップ。ライフイズテックのスクールの在校生が集まり、共同でのプロダクト開発に挑戦した。

尊敬できる同年代がこんなにも! 共同開発への挑戦


ーー「Life 伊豆 Tech !」にはどうして参加したのでしょうか?

「Life 伊豆 Tech !」には、企画書の作りかたや共同開発をしっかり学べると聞いたので参加しました。あとは単純に、全国のスクール生に興味があったからです。

ーー 合宿に参加してみていかがでしたか?

スキルの違いを体感しました。僕が合宿に参加したタイミングはスクールに通い始めて1年くらいのタイミングだったのですが、中学生のころから通っている人もいて、スクリプトの書き方から作っているものの内容までレベルが高くて。

また合宿では、UnityコースだけでなくWebデザインなど他のコースを取っている人も参加していたので、いろんなコンテンツに見ることができました。なにより、自分とは違う世界観を持っている人がたくさんいたことにビックリしました。1つのゲームをつくることに対して、こうも違う意見がでるんだなと。

そんな同世代のスクール生をみて「同じ高校生でもこんなものがつくれるんだ」と驚いたと同時に、「自分もこうなりたい」とより火がつきましたね。

ーー 一緒に開発したメンバーはどんな人でしたか?

1人はプログラミングコードを書くことが得意な人で、スピードもスクリプトの内容も次元が違いました。もう1人は、世界観の意見をしっかり出してくれる人でした。

僕はAIのスクリプトやステージづくりなどのグラフィックをスクールで培ってきていたので、この分野では作業をどんどん進められました。互いの得意をいかし、互いの苦手をフォローしながら、とにかく目の前の作業を分担しながら進めていきました。作業分担ができることは共同開発ならではのメリットだなと感じています。


ーー 初めて会うメンバーとの作業で大変だったことはありますか?

合宿のスタートは企画書作りからだったので、まずは意見のすり合わせが中心でした。企画部長のメンターの人に「ユーザーにどう感じてもらいたいか」といったフィードバックをもらいながら3人でストーリーを詰めていくのですが、これが大変で……。

3人とも思い描いている世界観が異なるわけです。一度ミーティングで「いいね」となったものでも実際に形にすると「イメージしていたのと違う」となることもあって。だから、言葉だけではなく写真などを活用しながら、イメージのすれ違いを埋めていくような話し合いを進めるようになりました。

ーー 開発を進めていく中で、意見のすり合わせ方も学んでいったのですね。

そうですね。3人とも初めて会う人同士だったので意見のすり合わせは大変でしたが、それ以上に自分1人では生み出せなかった奥深いゲームストーリーができあがったことの喜びのほうが大きかったですね。

そしてこれこそが共同開発の醍醐味だなと思います。それぞれが違う世界観を持っているからこそ、互いのストーリーに足りないものを埋められる。そしてよりよいものになっていく。ゲームがどんどんおもしろいものに変化していくのを実感できましたね。

共同開発を通して、自分の中の引き出しは確実に増えたと思います。

今の僕だから作れるゲームを見てもらいたい! Unityインターハイ優勝という目標

 ── 合宿でゲームをリリースしてからは、また新しいゲームをつくっているのでしょうか。

新しくRPGゲームを作っています。しかもその合宿で出会った関東のメンバーの1人と一緒に遠隔で共同開発をしているんですよ!

 ── なんと遠隔で共同開発! 直接ではないぶん意思疎通が難しいのでは?

そこまでの難しさは感じていません。SNSやグーグルスライドなどを使って、細かく情報を共有しながら作業を分担して進めているので。

そしてこのゲームは、リリースはもちろんUnityインターハイ(※3)という大会に出します。

※3…Unityインターハイ:全国の高校生や高専生、および小・中学生による、Unityを使ったゲーム開発の全国大会

 ── これまたなんと、大会にまで出場するとは! なぜ大会に出ようと?

僕は今、高3。受験を控えた身です。受験勉強はしなければなりませんが、僕が今できるすべてをつぎ込んだゲームは今しかつくれないんです。そしてそのゲームをその道のプロの方たちに見てもらって、しかもコメントももらえる機会があるならいかすしかないと思って。プロのコメントをもらえば、もっと良いゲーム作りにいかせるはずですから。

 ── 目指すはもちろん……?

優勝です! 今の僕たちにできるすべてをつぎ込むので、とことんやり切った証として結果を残したいです。だから“参加して終わり”で終わらせるつもりはありません。

また優勝することで、共同開発のすばらしさをアピールできると思っています。だから優勝します!

 ── 応援しています! 最後に。今の開発が終わってもゲーム作りは続けていきたいですか?

はい、もちろん! 進学先や就職先に直結するかはまだ先のことなので分かりませんが、個人の活動としてゲームだけでなくおもしろいコンテンツを生み出し続けていきたいと思っています。

 

ライター:クリス(@qris_)