18歳のピアニスト・牛田智大が考える理想の演奏家の姿とは?

 

3歳でピアノを始め、若干18歳ながらプロのピアニストとして活躍している牛田智大さん。日本人ピアニストとして史上最年少の12歳でCDデビューしてから今年で5年。あどけなかった少年は、心身ともに成長して充実の青年期を迎えました。

 

『トロイメライ~ロマンティック・ピアノ名曲集(2014年作品)』
音楽に関する知識は齢を重ねるごとに増し、それによって理想とする演奏にも変化が表れたと話す彼。一般的な18歳とは少し違う人生を歩んでいる牛田智大さんの“現在”について伺いました。

 

経験と共に変化してきた音楽に対する姿勢

—デビュー5周年を迎えて心境の変化はありますか?

 

「どうでしょう。5周年といっても音楽活動に大きな変化はありませんし、いただいた仕事をひとつずつやってきた感覚なので、あまり心境的なことは感じないですね。ただ、デビューしてからの5年間でいろんな経験をしてきて、それによって音楽に対する姿勢は変わってきたと思います」

 

—具体的にどう変わったのでしょうか?

 

「デビュー当時は“自分らしさ”をもっと出さないといけないんじゃないかと考えることが多かったのですが、最近はより楽譜に忠実に演奏したいと思うようになり、楽譜を深く読み込み、そのうえで自分の世界観を表現したいと考えるようになりました」

 

—そう思うようになったきっかけはあったんですか?

 

「特にこれといったきっかけはないのですが、仕事をしていくなかで段々とそう思うようになりました。もっと楽譜を深く読み込んで、伝統的な、アカデミックな解釈をしていけるようになりたいと思っています」

 

生まれつきなんでもできる”天才”とは違う自分

 

—12歳でデビューしたときから“天才”と評価されてきましたが、そう思われることに対してプレッシャーを感じることはありませんか?

 

「特にありません。天才って、どちらかというと生まれつきなんでもできて、努力をしていないという印象が強いと思うんです。でも、実際の僕は生まれつき何でもできた訳ではないですし、むしろ経験によって得たもので構成されています」

 

—長年やっていると悩みもありそうですが。

 

「音楽的なことに関していえば、それは日常茶飯事です。曲によって表現の仕方が異なり、その作品や作曲年代のスタイルや伝統によっても色々な可能性があるので、自分にとって新しい作品に取り組むたびに四苦八苦しています。永遠に正解が見つからない作業ですから…。でも、技術的な面は練習時間に比例していくので、できるようになるまで練習します」

 

—作曲に興味はないのでしょうか?

 

「作曲のプロセスを学ぶことは楽譜を読み解くのに役立つので勉強はしています。ただ、専門的にやるつもりは今のところありません」

 

—それはなぜですか?

 

「作曲には作曲のプロの方々がいますし、自分が書かなくても素晴らしい作品を書いてくださる方々はたくさんいらっしゃるので、そういった方々の作品をできるだけ演奏したいと思っています。

 

昔は、作曲家はみんな演奏家も兼ねていました。しかしその後”演奏家”と”作曲家”、それぞれに職業が分かれたのは、作曲家自身が演奏するよりも演奏家がその作品を客観的に解釈したほうが、聴衆にその作品の良さがより伝わる演奏ができるからだと思っています。僕は作曲家にとってよりよき演奏家でありたいと思っています」

 

高校生でありピアニストでもある生活

 

—現在は高校3年生ということで学業も忙しいと思うのですが、ピアノとの両立はどうしているのでしょうか?

 

「努力はしているのですが、実際できていない部分もあります。ほとんどの時間をピアノに費やし、余った時間を勉強にあてているような状況で。それこそ徹夜してレポートを書いたりすることもあります」

 

—1日のうちどれくらいピアノと向き合っているのですか?

 

「学校がない日はもう1日中ですね」

 

—日常の中にピアノのある生活が当たり前になっているんですね。

 

「そうですね、ピアノがない生活は考えられません。それこそ生活だけじゃなく、体の一部のような気持ちでいます」

 

—今は何を目標にしているのでしょうか?

 

「今年はいろんなコンチェルトを勉強しています。ピアニストとしてコンチェルトのレパートリーの幅はとても大切ですから…。また、ソロの作品では、これからはバッハとショパンを多く勉強したいと思っています。どちらもとても難しい作曲家で、習得するのにとても時間がかかりますが、一生をかけるつもりで勉強したいと思っています。あとはそれを次の世代に引き継いでいくことも考えています」

 

—すでに次世代の音楽家たちのことまで考えているのですね。

 

「クラシックは伝統芸能です。

歴代の偉大な音楽家が築いてきた伝統があり、それを受け継いで次代に継承していかなければならないと感じています。もちろん今はいろんな人から学ぶ時期ですが、一定の段階になったら学びつつも次の世代に伝えていきたいと思っています」

 

 

インタビュー終了後に「進路はどうするんですか?」と問いかけると、「まだ迷っているんです」と答える牛田さん。その表情は進路に悩む一般的な高校3年生と同じでした。誰にでも迷いの時期はあって、それを乗り越えた先に新しい可能性がある。牛田さんにはこれからもっと大きな花を咲かせてほしいと感じました。

 

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取材協力:ヤマハ銀座スタジオ

 

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