【レポート】驚きVR!新たな「表現」発見 /「MEMOREUM TOKYO(メモリアム・トーキョー)」

posted on 2018/11/09

何か自分の感情を表現したい時、ある人はそれを歌にするし、ある人は小説やエッセーで文章にする。漫画や絵を描いて自分を表現する人もいるし、彫刻にする人だっている。では、最近よく耳にするVR(バーチャル・リアリティ)では自分をどう表現するのだろう。

そんな新技術を使って自分だけの写真展を創り出すワークショップ「MEMOREUM TOKYO(メモリアム・トーキョー)」が11月3、4日、東京都千代田区立麹町中で開催され、中高生30人以上が夢の空間を体験した。

ライフイズテックとソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)との共催。中高生向けのVR教育ソフト「MEMOREUM」を使い、PlayStation®VR内の3D空間に、写真やオブジェクトを自由に配置。自分だけの写真展を演出する。

今回のワークショップでは、「東京」をテーマにして、事前に撮影した写真を各自持参した。

初日のオープニングでは、今回のイベントでアドバイザーを務めたデジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授も来場。中高生を前に、「この技術を使って、相手に何を伝えるのかということを考えもらいたい」と語った。


▲初VRの中高生がほとんどで会場から歓声も

初日はまずは「MEMOREUM」やVRに慣れてもらうカリキュラム。VRヘッドセットを初めて装着した中高生がほとんどで、会場の6テーブルからは「すっげぇ」「やばい、やばい」という歓声が次々に上がった。

普段から友人同士でゲーム制作をしている若林涼真君(中学3年)は、「ヘッドセットを外して現実に戻った時にフワフワする感じ。現実がどっちか分からなくなっちゃう。ゲーム作りにVRも導入したい」と興味津々。

ライフイズテックをツイッターでフォローしていて、今回のイベントに気づいたという黒川玲華さん(高校1年)は「手を出したらオブジェクトに触れられそうなくらいリアルでびっくりした」と話した。

メンターの1人の代田みさ子さん(大学1年)は、高校1年の時からライフイズテックのスクールやキャンプに通い、今回のイベントでは教材作りにも主導的に関わった。代田さんは「最後までストレスなく教材を進められるよう工夫した。自分の感情を空間に演出して、何か一つでもクリエイティブな部分を持ち帰ってもらえれば嬉しい」と中高生の今後に期待する。

SIEの担当者も「PlayStation®はゲームだけじゃない。感動できるツール。ワクワクする空間を作ってほしい」と話した。


▲参加者は自分だけの写真展作りに熱中した

2日目は、いよいよ実際にオリジナル写真展を作るカリキュラム。代田さんの作ったお手本の作品を見ながら、自分の感情を「晴れ」、「フレッシュ」などという言葉に置き換えてそれを作品のテーマとし、さらにVR内で表現するためのオブジェクトの配置や光の当て方を学んだ。

例えば、テーマを「希望と絶望」とした参加者の作品では、VR空間を2分し、片方を赤、もう一方を青の照明で彩って、対比を表現した。他者の作り上げたVR空間に入り、テーマを当てる企画も実施したが、改めて他者に「伝える」ことの難しさも感じているようだった。


▲VRで表現したお互いの作品に興味津々

イベントアンケートでは、「人の頭の中を触れた気がした」、「VRでもっと表現したい」、「自分の世界を自由に作れた」、「普段では鍛えられない能力を身につけられた」など収穫が大きかったようだ。

▲参加者の作品。選んだ感情は「幻想的」

筆者にとって、PlayStation®といえば、「2」で止まったまま。今回初めてVRを体験した。身を守るための鉄製の檻に入ったダイバーが、海の底に沈んでいくソフトだったが、途中でホオジロザメに遭遇。サメの突進で檻が壊れ、むき出しになってしまう。あまりの恐ろしさに途中で目を閉じた。体験後、といっても途中からずっと目を閉じたままだったが、メンターの皆さんに感想を求められたが、「面白いですねぇ」といかにも涼しい顔をしておいた。

ライター:宮本俊一
プロフィール:1981年、群馬県生まれ。2006年、読売新聞東京本社入社。記者職を中心に歩む。子どもの未来に繋がる仕事がしたいと2018年11月、Life is Tech! に転職。仕事の傍ら2013年からエッセーを書き、「第18回約束(プロミス)エッセー大賞」(産経新聞社主催)などで入賞。「誰にでも分かりやすく」をモットーに、旬な話題を随時アップします!